gusonの日記

脳外科勤務医.仕事,茶と書,仏教,趣味,その他について独り言です.

貧しくてよい

以前、

清貧の思想 中野孝次

について触れたことがあった。当時日本は世界第2位の経済大国で車、家電をはじめ世界中に日本製品が溢れていた時代であった。そして、この本は、日本に対する関心が高まっているから出だしとなり、残念ながら悪い評判ばかり耳にすると続いていく。曰く、日本人は金の話しかしない、金儲け以外関心ないのか、政治、文化、音楽、国際関係、哲学に興味ないのか。若い女まで大金を持って海外に行きブランド品を買い漁る、自分のライフスタイルに自信を持って何事にも一見識ある日本人はいないではないか、しかも貧しい国の人間には傲慢である、云々。そして、この戦中派の文芸評論家は内面の充実こそ価値あり、かっての日本にはそう言う考えが多数あり徒然草をはじめ、古典を海外に紹介し論じた。日本文化の一側面と題して何度も講演されたようだが、あまり良い評判では無かったとの事。よく理解されなかったのだろう。ぶっちゃけ世界も日本の物作りについてノウハウ的な事に興味があったということ.

 

今や日本の凋落は覆いようもない。GDPは日本より人口少ないドイツに抜かれて、第4位、そのうちインドにも抜かれるだろう。一人当たりGDPは先進7か国中イタリアに越され最下位。さらに、韓国、台湾、香港にも抜かれている。 国際競争力も大体top 5の常連であったが今や38位で、毎年落ち続けている。円も安くなった。国内旅行も旅館、ホテル代は値上がりの一途をたどり外国人だらけ。

 

さて、いよいよ古来の日本らしさに回帰するしかないかという思い、中野孝次さんの言う清貧の思想でいくのかとなるが?さすがに難しいだろうね。貧しくて良い、とは思う。ただ飢え死にするようでは困る。貧困対策こそ今後の重要な政策にすべきだ。寄附できる人寄附しなさい。もっと法人税をあげてください、となるね。大企業の内部留保は60兆あるとの事、主権者としてそれに課税しようとしない、消費税下げない与党にはもはや投票したくない・・・しないね,という有権者も多し。

 

一方でバブル時代日本人一般は幸せだったの?といえば、そうではない。日本が経済的に世界を席巻していた頃を知るものとして、金あまり日本、タクシーひろえず、すべてお金、文芸や哲学さらに生活にも経済のダイナミズムが入り込み財テクという言葉もはやったり、また社会はハラスメント、過重労働、ノルマ、右肩上がり目標、良い事なしだ。つまりあの時代は幸福ではなかったというのが実態であった。

 


金全てにあらず、ようやく古来日本にあるものに近づく。日本はもともと貧乏で明治維新後ムリにムリを重ねて軍事国家になり挙句戦争と言う所まで行き、国やぶれて山河ありとなった経験をもつ。最貧国から経済大国となり今やかってのように売るべき製品も無くなりつつあるとはいえ、腐っても鯛、このままどんどん落ちて行くと言う訳では無かろう。一つは日本人として内面の充実に行きたいのだが、それは難しいかも知れない。私は茶道、書道に親しむし、俳句も下手なりにやっているが、それだけだ。文化的芸術活動が大事だろう。ヨーロッパなど日本は憧れの国という外国人は多いとも聞く、まだまだなにか出来るはず。国際貢献はさらに今以上やらねばならぬ。そして戦争体験のある国、被爆国、被団協🎉ノーベル平和賞日本国憲法の精神こそが日本の根幹をなすべきだ。中村哲さん、鎌田實さんは世界的存在で代表的日本人も出ているし。それが、できたのも憲法国民主権基本的人権の尊重、そして建前だろうがなんだろが武力行使は永遠に放棄している平和主義、これは今後も堅持する。ま、いきなり海外にも行けるものではないが、寄付ぐらいはできる。この活動をしている人たちを支援する事はできるだろう。

 

貧しくともよい、日本だってまだまだやれる。それはわれわれ日本人全員が考えねばならないね。